ネットワークビジネスに少し変わった方法で勧誘された話。
世の中怪しい勧誘があまりに多い。
スマホ一台で儲かる!話
無料で◯◯が出来る!話
誰でもFXに勝てちゃう!話 etc
誰もが一度はこの手の話に誘われたことがあるのではないだろうか。
まあしかし、大抵はこんな話は無視するか適当にあしらって終わりである。
ただ、私はどんな怪しい話であっても、興味を持ってしまい、首を突っ込んでしまう癖がある。
今回、そんな怪しい話の中でもネットワークビジネスに勧誘された話をさせて頂きたい。
始まりはFacebookのメッセンジャー
2013年の7月初旬の話。学生時代にやっていたバンド仲間のFさんから、Facebookで一通のメッセージを受けた。
Fさんのスペック
当時29歳 男
システムエンジニア
Fさん「久しぶり。今はバンドとかやってるの?」
私「お久しぶりです!今は仕事が忙しくてやれてないですね。Fさんはどうですか?」
Fさん「そっかあ、ギターもあんまり弾いてないの??僕はまだ細々と続けてるよ」
私「ギターは今でもよく弾きますよ!お、いいですね!どんなバンドなんですー?」
こんな他愛もない会話が5往復くらい続いただろうか。久しぶりに会いたいなあと思っていた矢先、次のメッセージで雰囲気が少し変わる。
Fさん「ちなみに、仕事は調子はどう?海外で働きたいって行ってたけど夢は叶ってる?」
私「仕事ですか?ぼちぼちですね。海外は全く関係ないっす......」
Fさん「そうなんだね。僕の知り合いでギターの先生をやりながら自由に海外を飛び回って生活しているEさんって人がいて、君の為になるかなぁと思うんだけど良かったら会ってみない?」
この当時の時点でいくつもの怪しい話に乗っかっていたため、私はこのFさんのメッセージを読んで直感が働いた。
自由に生活するすごい人、そしてそのすごい人を何の前触れも無く紹介してくれる話。
ほぼ確実に某ネットワークビジネスの勧誘である。
しかし、私は例に漏れずこの話に乗ってみた。
ちなみにこの時点ではまだ数パーセント何か身になる話かもしれないと考えていた。
私「是非会ってみたいです。機会があれば、よろしくお願いします。」
Fさん「オッケーまた連絡するね。」
ここでその日のやり取りは終了しました。
あれ?知ってるのと違う?これはネットワークビジネス関係ないのかも。
数日後、Fさんから連絡があった。
Fさん「こんにちは。例の話、来週の火曜日ならEさんの都合が良いらしいんだけど、どう?」
私「大丈夫ですよ。ありがとうございます」
Fさん「じゃあ、来週の火曜日の夜8時に◯◯駅によろしく〜」
そうしてEさんと会う日がやってきた。
待ち合わせ場所に着くと、すでにFさんとEさんは到着しており、軽く挨拶を交わして飲む予定の居酒屋へと向かった。
Eさんスペック
当時40歳
ギター教室経営
ここで少し安心した。というのも、ネットワークビジネスの勧誘や他の怪しい話なんかはカフェやファミレスでの顔合わせが多く、居酒屋で酒を飲みながらなんてのはあまりないことだったからだ。
実際、私もそれまで居酒屋でそのような勧誘や話を聞いたことなかった。
「どうやら、いつもと様子が違う。もしかして、本当に私のためを思ってEさんを紹介してくれてるのかも。疑って申し訳ない。」
そう思い始めていた。
店に着くと色々な話をした。
音楽の話。仕事の話。趣味の話。恋人の話。将来の話。旅行の話。
このEさんという方は、学生の頃に時間に縛られない自由な生き方がしたいと思ったらしく、その時に好きなギターで生きていこうと決めたそうだ。
作曲や教室経営を主にしていて、海外で講演会をする機会なんかも多いらしく、仕事ついでに観光もしていてとても楽しく自由な毎日を送っている。とのことだった。
とにかく知識が豊富な方でとても楽しい時を過ごしていた。
始まる謎のゲーム
店に入って2時間くらいした頃にはもうネットワークビジネスの勧誘なんて話は頭から離れていた。
と、その時だった。
Eさん「ゲームをしよう。この紙を引いていって、書いてあることをみんなに宣言するゲーム。」
そう言って懐から折り曲げた紙を10数枚ほど取り出してきた。
紙にはこんなことが書いてあった。
・もし、なんの制限もなければやりたいことは?
・10年前の自分に喝をいれるなら?
・いまやらなければ絶対後悔しそうなことは?
自己啓発の文章がたくさん並び、少しづつ暗雲が立ち込めてきた。
しかし、ここでは疑心を表には出さずそのまま続けることにした。
私「やりましょうやりましょう!」
こうして、謎のゲームが居酒屋で始まる。しかし、酔ってたためか普段よりこのようなゲームに抵抗なく、むしろ楽しめたのではないかと思う。
もし、なんの制限もなければやりたいことは?
私「ロックンロールスターになる!」
10年前の自分に喝をいれるなら?
私「もっと勉強しろ!」
いまやらなければ絶対後悔しそうなことは?
私「独立!」
このようにテンポよく答えていった。
Eさんもそんな私の様子が気に入ったらしく、
Eさん「いいねえ。今度また、2人で飲みに行こうよ」
こうして、連絡先を交換しその日は解散することになった。
「あれ、やっぱりネットワークビジネスの勧誘じゃなかった。少し変わった飲み会だったなあ。」
こうして、Eさんとの初顔合わせは終わる。
Eさんとのさし飲み。そして謎のゲーム再び。
数日後Eさんから連絡があった。
Eさん「今、台湾にいます。夜景が綺麗です。」
「ん?なんだこれ。やはり少し変わった人だ。」と思いながらも返信。
私「いいですね。ところで先日はありがとうございました。」
Eさん「こちらこそ、来週の火曜日空いてたら2人で密会しましょう」
Eさんは独特の言葉使いだった。しかし、その言葉使いこそがネットワークビジネスの勧誘かもしれないという私の疑いを払拭させていた。
というのも、こうした勧誘はある程度のマニュアルがあり、皆言うことはテンプレ通りであることが多いからである。
そうしたテンプレから外れたEさんの論調から私のEさんへの疑いは完全になくなっていた。
こうして、今度は2人で飲む約束の日がやってきた。
前と同じように色々な話をして、すっかり意気投合しており、仕事が落ち着いたらEさんのギター教室に通おうかなんて話もしていた。
そんな時、またあの自己啓発ゲームが始まりまった。
例の如く紙にかかれた質問に答えていく。
自分にキャッチフレーズをつけるなら?
私「すぐやる、絶対やる、できるまでやる!」
もし宝くじが当たったらどうする?
私「世界一周!」
人生でこれだけはやりたいってことは?
私「独立して仕事がしたい!」
するとEさんの様子が急に変わりました。
「君さ、情熱あるし一緒にビジネスしない?実は、F君も一緒にやってるんだけどさ」
「〇〇って知ってると思うんだけど......」
まさかの出来事であった。結局、あの某ネットワークビジネスの勧誘だったとは。
もちろん丁重におことわりして、その後何度か連絡がきましたが、会うことはなかった。
ネットワークビジネスが良いこと悪いことか言及するつもりはないが、個人的にあまりいい思い出がないため、そういった話を持ちかけてくる方とはあまり深いお付き合いをしないようにしている。
おわりに
今、思い返してみると怪しいことだらけであった。
あの謎のゲームは勧誘の対象者にたくさん発言させて、勧誘しやすい雰囲気を作るものだったのかもしれない。
今まで受けた怪しい話と異なり、飲み屋という比較的お金のかかる場所を利用していたり、2回に分けて勧誘を行ったりなど手が込んでいて最後まで気づかなかったのが印象的であった。
しかし、どれだけ手が込んでいても、直感までは騙せないものである。