正しい「多動力」を身につけ、実践・活用するための方法とは。
実業家の堀江貴文さん著の本の題名でもある「多動力」という言葉が、普及していくにつれて、「多動性」というもともとはマイナスのイメージだった特性が1つの能力として市民権を得てきている。
しかし、この風潮を鵜呑みにして、とにかく行動する=良いことと短絡的に解釈してしまうのは危険である。
多動力という言葉がバズワードと化しつつある今、もう一度その言葉の定義と身につけ方を考察したい。
多動力とは?行動力との意味の違い。
それぞれの言葉の世間で使用されている文脈を考慮すると、
行動力=論理的な判断の下、適切なタイミングで実行に移す能力。
多動力=面白そう、役に立ちそうだと感じたら即時的にとりあえず実行する能力。
と定義付けることが出来るのではないだろうか。
このような特性の違いから、それぞれの能力を身に付ける過程も異なってくる。
自分の今後のキャリアを考えた上で、行動力か多動力のどちらを優先的に身に付ける必要があるのかの判断は非常に重要である。
なぜ多動力が必要なのか。
現代は、技術革新のスピードが速く、変化も激しい。
また、スマートフォンなどの普及により、得られる情報量も伴って増えてきている。
そんな時代を乗り越え、成功すると言われているのは1つの分野を100%極めた人材ではない。
80%ほどの成熟度で十分なので、そんな知識や技術を3つも4つも持ち、それらを相互作用させながらオンリーワンの存在に昇華させることのできる人たちだ。
何か特定のスキルを80%の成熟度に高めるのにはそこまで時間を投資する必要はない。
必要なのは面白そうだという興味関心と、すぐに行動に移せる能力、そう多動力である。
多動力の身につけ方
それでは、どのようにすれば多動力を獲得することができるのだろうか。
元も子もない言い方になってしまうが、多動力は一種の生まれつきの才能であると言える。
というのも、多動力の根源となる多動性は、脳のドーパミン不足から起因する行動中毒の状態だと言えるからだ。
そして、この恒常的なドーパミン不足から引き起こされる行動中毒というのはADHDという脳の発達障害の人に特徴的な生まれつきの才能なのだ。
しかし、ADHDの人でなくても、習慣次第で行動中毒の状態になることは可能である。
これは人が中毒状態になる時のメカニズムを利用することで実現する。
ようは、行動することで、脳の報酬系を刺激し、ドーパミンが出るような状況を作り出せれば良いのだ。
脳が、行動すること=良いことと認識出来るように、行動することによる成功体験を短時間にいくつも積み重ねることで、それを実現することは可能になる。
例えば、雰囲気の良い雑貨店に飛び込みで入店する→お店の人と気が合って仲良くなる。といった具合だ。
最初は行動することに対する恐怖が働き、純粋な興味関心をそのまま行動に移すこと出来ないかもしれない。
それでも、面白そうな情報があれば反射的にそれに飛びこう。そして、ポジティブなリターンにのみ着目する癖を付けよう。
そうすることで、自ずと興味→行動→面白いという思考が脳に染み付くことだろう。
多動力を120%生かす方法
前述したように、多動力とは面白そうという感情から行動を起こす能力のことである。
そのため、多動力によって引き起こされる行動は、科学的根拠に基づいていないため、行動選択の精度が低くなってしまうという欠点がある。
もちろん、多動力の本質はそこにはないのだが、どうせなら精度の高い行動を取れるようになれるとなお良い。
そこで、選択日記というものをつける習慣をオススメする。
選択日記とは、コロンビア大学の教授であるシーナ・アイエンガー氏が発案したもので、
・自分の行った選択
・そうするにいたった思考プロセス
・判断に用いた情報
を書き留め、その後、その判断について、
・結果を自分で評価
・なぜ、うまくいったか、いかなかったか
を考えるというものだ。
この日記を書く習慣を付けることで、情報を分類し、整理する能力が培われ、「選択」において同じ失敗をくりかえさないようになるという。
また、多動力によって行動量が増えると、それに伴いインプットされる情報がドンドン増えてくる。
大量にインプットされた情報をSNS、ブログ、YouTubeなどの媒体を通してアウトプットすることで、情報が整理、吸収され、多動力を最大限に生かすことが出来るだろう。