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無意識の意思決定の話。オプトイン、オプトアウトとは?

 人の行動を決定づけるものは何だろうか。

熱い想いか、それとも明確なメリットか、はたまた金銭的な報酬だろうか。

多くの方は、何か決定的な要素がないと、人は行動しないと思いがちである。

 

人々は必ずしも合理的ではない

  しかし、人の意思決定というのは、常に合理的に行われているものではない。

  この記事を読んでいただいている方の中にも、「タバコをなかなかやめられない。」「お金を飲み代や衝動買いで散財してしまう。」という人は多いだろう。

  もし、人々の意思決定が合理的なものであるとしたら、「タバコを吸うことが体によく、貯金はするべきではない。」ということになってしまう。しかし、実際はそうではないはずだ。

  つまり、人々はそれほど合理的に行動をしているわけではなく、情熱や金銭的な報酬が必ずしも行動に繋がるわけでもないのだ。おそらく、タバコを吸いたいという衝動が無意識に働きタバコを吸ってしまうのだろう。

  そして、人々はこのような日常的な行動だけでなく、重要な事柄でさえ無意識の決断をしてしまうことがある。

 

ヨーロッパ諸国の臓器提供の例

  人々は重要な決断でさえも無意識に行ってしまうということを特徴的に表す例として、「ヨーロッパ諸国の臓器提供への同意者の割合」という話がある。

 

  次のグラフを見ていただきたい。

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  これはヨーロッパ諸国の臓器提供への同意者の割合を示したグラフである。
  左の4カ国、順番にデンマーク、オランダ、イギリス、ドイツは見ての通り同意者の割合が低い。
  逆に右側の7カ国は、同意者の割合がほぼ100%となっており、非常に高いことが分かる。
  この2つの群の結果の違いは、宗教や文化、国のキャンペーンが大きく影響しているわけではない。
  実際、同じ宗教、同じような文化を持つ2国が左側と右側の両郡に存在していることからも理解いただけるだろう。
  また、ドイツでは臓器提供への同意者を増やすため、国をあげて様々なキャンペーンを打ち出したが、結果はご覧の通り、ドイツは同意者の割合が低い左側の群にあるのだ。

  では、このような大きな差は一体何に起因しているのか。

  それは、臓器提供の意思表示をする書類の選択形式にある。

   同意者の少なかった国の選択形式は、

「臓器提供に同意する場合は選択欄にチェックを付けてください。」とある。

  逆に同意者の多かった国では、

「臓器提供に同意しない場合は選択欄にチェックを付けてください。」となっているのだ。

  ただこれだけの違いで 「臓器提供への同意の有無 」という至極重要な選択の結果が大きく変わってしまうのだ。

 

オプトイン、オプトアウトとは。

  このような選択のさせ方の違いを「オプトイン、オプトアウト方式」という。

  オプトインとは、認識者が「参加する」ということを選択できる方式のことだ。

  逆にオプトアウトとは、「離脱する」ということを選択できる方式のことである。

  通常、どちらの方式であったとしても、人々は選択することを無意識で回避し、デフォルトの状態を維持することが多い。

  そして、オプトイン、オプトアウト方式を利用すれば、意図した選択肢を回答者へ選ばせることも十分に可能なのだ。

 上記の「ヨーロッパ諸国の臓器提供への同意者の割合」の話は、この「オプトイン、オプトアウト方式」のどちらを採用するかによって、参加の是非が大きく変わった良い例である。